管理組合の理事たちが団地で見つけた良いことや興味のあることなど「よもやま話」を語ります。
興味がありましたら読んでください。
こんにちは、環境整備担当理事の谷口です。
今回はかなり真面目なお話をします。今までのお話がいい加減だったわけでは無いのですが、今回のお話は公園遊具の実情を皆様に知っていただくために取り上げました。
下の写真は3街区の西小公園Ⅰにある箱ブランコです。「揺りかごブランコ」とも呼ばれており、滝山団地の遊戯設備名としては「腰掛ブランコ」になります。昔は2街区に3台、3街区に2台の合計5台がありましたが、今はこの公園に1台だけ残されており、踏み板が固定された状態でベンチとして利用されています。
当時は子供たちに大変人気のある遊具で、全国的にもたくさん設置されていました。
このブランコは自力で漕げない小さな子どもたちのために考案されたもので、きちんと座席に座り大人が外から揺りかごを揺らすようにゆっくりと動かして遊ぶことが本来の使用方法だということです。
きちんとした使い方をすればとても安全な乗り物です。
ところが、そんなことを知らない子供たちは自らが体重移動させながら揺らしたり、子供が外側から押したり、立ち乗りしたり、すごい勢いをつけて揺らしたりします。(子供ってそんなものですよね。)
その結果、全国で次のような死亡事故が相次ぎました。
そして、この一連の死亡事故をきっかけに国土交通省は都市公園法第31条に基づく技術的助言として2002年3月に「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」を作成して公園管理者に通知しました。
また、この指針に沿って、同年10月には遊具メーカーなどで組織した一般社団法人日本公園施設業協会による「遊具の安全に関する規準」が作成されました。
この安全基準は、本当は協会会員向けの自主規準なのですが、国土交通省は公園管理者にこれを周知させるなど、国内の公園遊具に関する唯一の具体的規準となり、多くの公園管理者たちはこの安全基準に基づいた点検を実施いています。(滝山団地でも毎年、協会会員メーカーによる遊具の安全点検を行っています。この安全基準については、いつか詳しくお話し致します。)
この一連の流れの中で2004年以降に起こされた「箱ブランコ事故の訴訟」では公園管理者側が立て続けに敗訴することになり、日本中で箱ブランコが撤去されるきっかけとなったのです。
また、同時にシーソーや回転ゴンドラなど「動く遊具」も安全基準を満たしていないとの理由でどんどん無くなっていきました。
さらに、滑り台などの「動かない遊具」に関しても、安全基準が出来たことで責任を問われることを避けたい公園管理者たちにより、どんどん撤去されてゆき、ついには遊具が何もない公園があちらこちらに見られるようになったのです。
箱ブランコはまさに「悪者遊具」の象徴として、世間から批判を浴びることになってしまったのです。
しかし、箱ブランコの危険について次のような見解を出している法律事務所もあります。
この法律事務所の見解は私も頷けるもので、問題なのは踏み板と地面の空間が幼児の頭が挟まれる距離になっていることであり、当時メーカー各社が改善策を講じていれば今のような状況にはならなかったかもしれません。
しかし現在、改善されたものが流通していないことを考えると、裁判で負け続けたことにより世間でタブー視され、どのメーカーも改善に及び腰になったのではないかと推測します。
(これは私の見解・推測であり、文責は谷口個人にあります。実際にシーソーや乗物遊具などは各社が安全面を考慮した新しい機構を採用して流通しているのです。)
この箱ブランコについては…
このような注意喚起や改善策を講じていれば、今でも普通に楽しめる遊具であったかもしれません。
いずれにせよ、滝山団地の腰掛ブランコを再び動かすことは相当難しいでしょう。
でも、未来の子供たちにも「実物の箱ブランコ」に乗る経験をしてもらいたいので、せめてベンチとしてずっとこの公園に残していきたいですね。
例えば、塗装を塗り直して屋根をつけ、周囲を花壇で囲い、「インスタ映えスポットにする。」などは如何でしょうか? 滝山団地でも色々な楽しみ方が出来る公園を目指しませんか?
次回は「隠れてしまった砂場」をお話し致します。お楽しみに。(つづく)
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 | 31 |