管理組合の理事たちが団地で見つけた良いことや興味のあることなど「よもやま話」を語ります。
興味がありましたら読んでください。
こんにちは、環境整備担当理事の谷口です。
第7回コラムの時に、東大公園を作るにあたっては当時の設計者が「あるテーマ」を元に遊具を配置したのではないかとお話し致しましたので、本日はそのテーマについて取り上げます。
この公園には、他の公園に無い「船の形」をしたセメント造形遊具が3艘あるのが特徴です。写真では、奥に大きな船(私たちは船形遊具と呼んでいます。)と手前に小さな船がありますね。
しかし、昔はここに大船1艘と小舟4艘の合計5艘もあったのです。すごいですね。
そして、もう1つの特徴としては、滑り台が公園のほぼ中央に配置されている事です。また、以前にご紹介した「漁トリポール」が大船の近くにあることも注目して下さい。
最近では、流行りの合成樹脂系コンビネーション遊具などが公園の中央に配置されることもありますが、一般的に滑り台単体の場合は公園の端の方に配置されることが多いですよね。滝山団地においても他の公園にある滑り台3基は端の方に配置されています。でもこの東大公園だけは、ほぼ中央に配置されているのです。
何故でしょうか?それは、この公園を上から見ると何となく分かってきます。
東大公園を上から見ると、5艘の船が滑り台を起点に放射状に配置されていることが分かりますね。そして、この図と写真では分かりにくいですが、全て船首が外側を向いています。
これらの事から推測できるのは、この公園は滑り台を「島」に見立てて「島から出港した5艘の漁船が大海原で今まさに漁をしている場面」を表現したのではないかということです。
「なぜ漁船と断言できるのか?」と言うと、大船の船尾近くに遠洋延縄漁船で使用する「漁トリポール」が配置されているからです。
この漁トリポールの「鳥」はカモメなどの海鳥で、「魚」はマグロなどを釣るための延縄に仕掛けられた「餌の魚」。そして、その延縄は大船の船尾から投げられていると考えられる配置になっています。
もちろん、これは私の推測に過ぎませんが、でも航空写真をずっと眺めていると、段々と公園が海に見えてきて、いくつもの漁船が浮かんでいるように思えてきませんか?
当時、この公園を設計した日本住宅公団の技術者の方は、現在ではかなりのご高齢になられているでしょうから、今になっては問い合わせることも出来ません。でも、もし本当に公園全体を箱庭的な「アート作品」としてデザインしていたのだとすると、その設計手法と遊び心には感動を覚えます。
そう考えると貴重な小舟が2艘も撤去されてしまったことが残念でなりません。
いずれにしても、この配置で残された船3艘と漁トリポール及び滑り台は、これから先もずっとこの公園に残しておく価値がある「団地遺産」ではないでしょうか。
次回は「アートな遊歩道をご存知ですか?」をお話し致します。お楽しみに。(づづく)
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