滝山団地の“ちょっとイイ”お話

管理組合の理事たちが団地で見つけた良いことや興味のあることなど「よもやま話」を語ります。
興味がありましたら読んでください。

【環境整備より】第17回「個性的な植込柵」

こんにちは、環境整備担当理事の谷口です。

団地内遊歩道にはオオムラサキツツジや四季の観賞花が植えられている「植込柵」があり、いつも私たちを楽しませてくれます。

3街区の植込柵と冬の鑑賞花
3街区の植込柵と春の鑑賞花
2街区の植込柵とオオムラサキツツジ

この柵は団地の建設当時からあり、施設目録や図面にも記載されています。下図の緑色部分が植込柵です。結構たくさんありますね。

3街区遊歩道周辺の植込柵

私たちが普段何気なく目にするこの植込柵ですが、建築に詳しい方にお話しを聞くと滝山団地の柵は一般的に見かけない珍しい形をしているとのことです。いったい何が他の柵と違うのでしょうか?

それでは第2団地さんの植込柵と比べてみましょう。

 滝山団地第二住宅管理組合事務所前の植込柵
私たちの植込柵(2街区遊歩道)

分かりましたか?
第2団地さんのものは石が横向きに積み重ねられているのに対して、私たち2・3街区のものは縦向きに並べられていますね。
この石は『鉄平石(てっぺいせき)』と言い、長野県諏訪地方で多く取れる火山岩の一種で、薄く平べったい形をしているのが特徴です。諏訪地方以外にもいくつか産地があるようです。
この石を使用して柵や塀を作る場合、普通は『小端積み』や『乱積み』と呼ばれる積み方をするそうです。

  • 小端積み(こばづみ):薄くスライスされた石の側面が見えるように積み重ねたものを言うそうです。側面の長い方を小端、短い方を小口と呼びます。これが広く普及している積み方で第2団地さんの植込柵もこれと同じですよね。
  • 乱積み(らんづみ):不揃いの形をした石の平面部分が見えるように並べて壁にはめ込むように積み重ねたものを言うそうです。

これに対して私たち2・3街区の鉄平石は縦に並べられていますよね。普段当たり前のように見ていましたが、これが意外と珍しいのだそうです。
確かに石を不安定な縦の状態にして並べることやセメントを等間隔で塗り込んでいく作業は手間がかかるでしょうから、普及しないのも分かる気がします。

なみに1街区のUR団地さんでも管理事務所周辺に私たちのものと同じ形の植込柵が見られます。

1街区遊歩道沿いの植込柵

ところで、なぜ小端『並べ』とも呼ぶべきこの珍しい手法が1~3街区に採用されたのでしょうか?
当時の資料は全く残っていないので2つの仮説をたててみました。

【仮説その1】 コストダウン説 ~鉄平石を節約したかったから
石を縦に並べることで、石と石の間隔を空けてセメントを多く盛ることができ、少ない数の石で柵を作ることが出来るから。そのおかげで遊歩道の周辺にたくさんの植込柵を作ることができたのではないでしょうか。

【仮説その2】 オンリーワン説 ~他の団地には無い特色を出したかったから。
滝山団地より前に建設された公団団地の住棟には2階建てテラスタイプや住戸が3方向に張り出している『スターハウス』と呼ばれるタイプ、コの字になっているタイプ、高層エレベータタイプなどバリエーションに富んでいました。
しかし、滝山団地の住棟はフラットタイプの階段室型5階建てのみ。「どこを見ても同じ形の建物」が並ぶこの滝山団地において、せめて遊歩道周辺だけでも個性的な空間を作りたかったのではないでしょうか。

もちろんどちらも仮説の域を出ませんが、わたしは仮説その2であってほしいと思います。

いずれにしても個性的な形をした植込柵である事には違いがありませんので、皆様も遊歩道を散策する際にはぜひ、じっくりとご覧になってください。

次回は「みんなの憩いの場、パーゴラとレストコーナー」をお話しいたします。お楽しみに。